今回は、複数の比・倍数算についてお話しします。
複数の比
「比の基本」で記載したとおり、複数の基準が異なる比があった場合、丸や四角で囲んだ数字で違いをわけておくことが重要です。
下記の問題を例にとって考えます。
あるクラスの生徒の数の男女比は、男子 : 女子 = 3 : 5です。
また、男子のうち算数が得意な生徒と苦手な生徒の比は、1 : 3です。女子の人数が20人の場合、算数が得意な男子は何人か答えなさい。
まず、問題文の比を丸や四角で囲んだ数字を使って表します。
男子 : 女子 = 3 : 5
算数が得意な男子 : 算数が苦手な男子 = 1 : 3
また、上記から下記式も成り立ちます。
男子 = 3 = 1 + 3 = 4 ・・・(1)
また、女子の人数が20なので下記式が成り立ちます。
5 = 20
両辺に3/5をかけることにより、3(男子)の人数がわかります。
5 × 3/5 = 20 × 3/5
3 = 12 ・・・(2)
式(1)と式(2)より下記が成り立ちます。
4 = 12
上記より1(算数が得意な男子)は下記求められます。
算数が得意な男子 = 1 = 12 ÷ 4 = 3人
ある会社の従業員の人数の男女比は、男性 : 女性 = 2 : 3です。 また、男性のうちプログラミングが得意な従業員と苦手な従業員の比は、3 : 2です。女性の人数が60人の場合、プログラミングが得意な男性の人数は何人か答えなさい。
解答
まず、問題文の比を丸や四角で囲んだ数字を使って表します。
男性 : 女性 = 2 : 3
得意な男性 : 苦手な男性 = 3 : 2
また、上記から下記式も成り立ちます。
男性 = 2 = 3 + 2 = 5 ・・・(1)
また、女子の人数が20なので下記式が成り立ちます。
3 = 60
両辺に2/3をかけることにより、2(男性)の人数がわかります。
3 × 2/3 = 60 × 2/3
2 = 40 ・・・(2)
式(1)と式(2)より下記が成り立ちます。
5 = 40
上記より3(プログラミングが得意な男子)は下記求めらます。
算数が得意な男子 = 3 = 40 × 3/5 = 24人
答え:24人
倍数算
倍数算とは2つの異なる数に対して、足し算や引き算でその比が変化する時に、やり取りをする前の数量などを求める問題のことを言います。その際に複数の比から複数の式ができ、ひとつの比を最小公倍数に揃えて代入もしくは式で引き算して消去することで他の比の数を明らかにします。
下記問題を見てみましょう。
お店で売っているおもちゃの種類Aと種類Bの価格の比は2 : 5でしたが、2つのおもちゃともそれぞれ500円値上がりしたため、AとBのおもちゃの価格の比が3 : 7になりました。おもちゃの種類Aのもとの価格は何円か求めなさい。
まず、種類Aと種類Bの価格の比は下記の通りです。
種類A : 種類B = 2 : 5
また、値上がりしたおもちゃの価格は、3 : 7 になので下記のように表せます。
値上がりした種類A : 値上がりした種類B = 2 + 500 : 5 + 500= 3 : 7
上記から下記式が成り立ちます。
2 + 500 = 3 ・・・(1)
5 + 500 = 7 ・・・(2)
四角数字を削除したいので、四角数字を同じ数に合わせるために式(1) × 7と式(2)× 3をします。
(四角数字の最小公倍数を作るイメージ)
(2 + 500) × 7 = 3 × 7
14 + 3500 = 21 ・・・(3)
(5 + 500) × 3 = 7 × 3
15 + 1500 = 21 ・・・(4)
(3)と(4)より下記が成り立ちます。
15 + 1500 = 14 + 3500
左辺に丸数字を右辺に通常の数字を移行します。
15 - 14 = 3500 ‐ 1500
1 = 2000 ・・・(5)
求めたい種類Aのもとの価格は2 ですので、式(5)×2をして求められます。
種類Aのもとの価格 = 2 = 2000 × 2 = 4000円
あるカフェで、コーヒーと紅茶の価格の比は3 : 2です。ある日、コーヒーの価格が100円値上がりし、紅茶の価格は50円値上がりしました。すると、コーヒーと紅茶の価格の比が8 : 5になりました。コーヒーと紅茶の元の価格をそれぞれ求めなさい。
解答
まず、コーヒーと紅茶のもとの価格の比は下記の通りです。
コーヒー : 紅茶 = 3 : 2
また、値上がりしたコーヒーと紅茶の価格は、8 : 5 になので下記のように表せます。
値上がり後のコーヒー : 値上がり後の紅茶 = 3 + 100 : 2 + 50 = 8 : 5
上記から下記式が成り立ちます。
3 + 100= 8 ・・・(1)
2 + 50 = 5 ・・・(2)
式(1) × 5と式(2)× 8をします。
(3 + 100) × 5 = 8 × 5
15 + 500 = 40 ・・・(3)
(2 + 50) × 8 = 5 × 8
16 + 400 = 40 ・・・(4)
(3)と(4)より下記が成り立ちます。
16 + 400 = 15 + 500
左辺に丸数字を右辺に通常の数字を移行します。
16 - 15 = 500 - 400
1 = 100 ・・・(5)
(5)より
コーヒー = 3 = 100 × 3 = 300円
紅茶 = 2 = 100 × 2 = 200円
答え:ものとコーヒーの価格 300円、紅茶の価格 200円
複数の比が出てきたときは、お互いの比を間違いないためにも必ず、丸や四角で囲んだ数字で区別をつけましょう。また、2種類の比が出てきたときは2種類の式を作れれば、上記のように片方の比を削除することができるテクニックを覚えましょう。